2015年9月20日に江戸川河川敷でイナゴ採りをした。その成果はかんばしくなかった。しかし私は諦めたくなかった。イナゴを採り、食べたい。
9月20日のイナゴ採りでは、トノサマバッタが目立っていた。採った30匹中、イナゴは3匹ほどしかいなかった。まだ時期が早かったのか、それとも場所が悪かったのか。
私の父に電話して聞こうかとも思ったが、どうも気恥ずかしくて聞けなかった。父は70歳を越えている。私はもうすぐ40歳である。そんな歳になって、私が子供の頃の楽しかった思い出を一緒にたどるような話を、父に聞くのはどうしても抵抗があった。別に仲が悪いわけでもないけれど、距離感はそれほど近くない。こういう歳の親子関係って、こんな感じが普通なのだろうか。よくわからないけれど、とにかく恥ずかしさに阻まれた。
父と私の息子は仲が良い。私の息子は、私の父が耕す小さな畑に行き、収穫を手伝うのが好きなようだ。だから息子から聞いてもらおうかとも思ったが、息子も大きくなったせいか、私の指示に従うのはあまり気が乗らないようだ。
仕方がないので、自分で実地調査しようと思った。
しかし、また江戸川に行くとなると片道30分ほどかかる。少々面倒くさい。食糧問題とイナゴのページに書いたが、イナゴはイネ科の植物であれば、雑草が生い茂っていれば育つはずである。近所にそういう場所があれば、とりあえずそこで調査してみたいと思った。
そう考えを巡らせると、候補地が思い当たった。この2ヶ所だ。越谷市の綾瀬川河川敷だ。
早速、土曜日を待って自転車で行った。
第一ポイント
第一ポイントはこんな感じだ。幅10メートルくらいの雑草地帯が300メートルくらいだろうか、広がっている。住宅地の中である。川の向こうも住宅地だし、この雑草地帯のすぐ脇も住宅地である。
2015年9月20日江戸川河川敷でのイナゴ採りでは、イナゴではなくトノサマバッタが目立っていた。なぜイナゴが少なかったのか、とても気になっていた。もしかしたらイナゴ最盛期の季節というものはかなりピンポイントな短い期間なのだろうか。
あの後色々調べたら、イナゴは「田んぼの畦(ウネ)」で採るのが基本であるようだった。そうだ。私の思い出を掘り起こしてみると、確かにそうだった。畦とは、田んぼの脇のあぜ道のことである。私の実家の主戦場は江戸川河川敷であったが、父の実家の田んぼの畦にもイナゴがたくさんいた。
秋になると、稲刈りで田んぼの稲が刈り取られる。すると、田んぼにいたイナゴが一斉に、雑草のある畦に移動する。畦にイナゴが密集するのだ。その畦でイナゴを採るのが、スタンダードな農家の文化らしかった。
ということは、イナゴ採りのシーズンは稲刈りが終わった直後ということになる。私の住む埼玉県の稲刈りの時期を調べてみると、9月下旬から10月上旬であるようだった。今がまさに稲刈りの時期ということか。そうすると、イナゴ採りをすべき時期は10月下旬あたりということになるだろうか。
ともあれ、もう10月である。既にたくさんイナゴは発生しているかもしれない。少しの期待を胸に抱いて綾瀬川に来たわけだ。
しかし、小さな物体がピョンピョン飛び跳ねていることに気付いた。よく見るとイナゴっぽい。小さくて見つけづらく、すばしっこくて捕まえるのに苦労したが、15分ほど走り回ってやっと一匹捕まえた。これだ。
この顔。イナゴの顔だ。間違いなくイナゴだ。しかし、私が知っているイナゴとはだいぶ印象が違う。全体的に色が薄く、透明感がある。たぶん、イナゴの幼生なのだと思う。
尾の方を見ると、翅のほうが胴体よりも長い。ということは、コバネイナゴではなくハネナガイナゴなのだろうか。しかし、幼生なのでこれから変わっていくのかもしれない。
この場所には、このイナゴの幼生らしきものばかりがいた。そして、トノサマバッタは全く居なかった。バッタ類はイナゴがほとんどで、ほんの少しだけオンブバッタが居る程度だった。ということは、もう少し遅い時期になれば、大きくなったイナゴがたくさん採れるかもしれない。今日は不発であったが、将来有望な場所だ。2週間ほど経ったらまた来ようと思った。
あと、この場所の植生だが、メヒシバかオヒシバらしき雑草がメインだった。こんな雑草だ。どちらもイネ科の雑草なので、いずれにしてもイナゴの良い飼料になる草である。
第二ポイント
そして第二ポイント。こんな場所だ。なにやらポンプが置いてある施設らしい場所の脇なのだが、これがどんな施設なのかはよくわからない。
結論から言うと、この場所には私が求めるイナゴはいなかった。バッタ類はいたのだが、多くはツチイナゴだった。私が求めるコバネイナゴとハネナガイナゴはいなかった。ハズレだ。植生も、第一ポイントとはかなり違っていた。草の背が短く、素人目ではあるが、イネ科の植物ではないだろうなと感じられた。イナゴに適した場所ではなさそうだった。
今日の記録は以上である。ともかくも、第一ポイントはかなり有望そうだった。自宅の近所でイナゴ採りができそうな場所が見つかり、嬉しかった。と同時に、なぜこんな近くにいたかもしれないイナゴにこれまで気づかなかったのだろうと悔やんだ。この場所は今後もきちんと調べよう。
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