私はズルをした。私はイナゴを買った。

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イナゴ甘露煮 花九陽印

昨日、イナゴ袋を作り、イナゴ採りの場所を調べた後、布団に入った。しかし眠れなかった。こんなことを考えていた。

もしイナゴが居なかったらどうしよう。

イナゴに逃げられ、一匹も採れなかったらどうしよう。食べられないかもしれないではないか。

そもそも、30年前の記憶を頼りにイナゴ採りなどできるのだろうか?完全に都会生活を送っている今の私に、イナゴ採りができるのだろうか?

イヤなことを考え始めると、その不安はどんどんと膨らんでいく。私は2時間ほど布団の中で悩んだ。

私は、どうしてもイナゴを食べたかった。イナゴを食べる経験を、確実なものにしたかった。

ふと思いつき、イナゴの文字をAmazonで検索した。すると、あった。売っていた。イナゴが売っていたのだ。甘露煮を缶詰にしたものが売られていた。
花九曜印 いなご甘露煮 EO缶 #5 150g


明日、イナゴがいて、採れればそれでいい。でも、採れないかもしれない。いないかもしれない。もう、私の欲望は爆発寸前だった。イナゴを食いたい。

私の脳味噌は、欲望に埋め尽くされた。次の瞬間、私の親指は、私の意志ではない別の何かに操作されたように動き、スマホに表示されているAmazonの購入ボタンを押していた。

ああ、買ってしまった。私はそのとき、このイナゴの缶詰を買ったことを恥ずかしいと思った。食べたいのだから買うのは当たり前だったが、農家の血を継ぐ者としてのプライドが私の中に少々残っていたようだ。私にとってイナゴは、採るものであって、買うものではなかったのだ。イナゴを買うなどと言ったら、父の実家の親類たちは私を笑うだろう。だから恥じた。

買ってから思い出した。そういえばこのイナゴの缶詰を見るのは今回が初めてではない。検索してみたらGIGAZINEに載っていた。見たことのある記事だった。私はなぜ、この記事を見た時にこの缶詰を買わなかったのだろう。その時は、まだ今よりも農家のプライドが大きく残っていたのかもしれない。

そして今日、イナゴ採りの結果は良くなかった。

まあ仕方がない。ゆっくりとおんこ出しを待って、トノサマバッタの味を確かめよう。食べるのは明後日になるな・・・と思いつつパソコンをいじっていたら、玄関のチャイムが鳴った。出ると、宅急便だった。まさか。

届いたのだ。イナゴが届いたのだ。昨日の深夜に注文したイナゴの缶詰が、今日届いたのだ。Amazonの配達は早いとは聞いていたが、びっくりした。まさかこんなに早いとは。

イナゴ採りの成果は良くなかった。そして私の手元には今、イナゴの缶詰がある。

食べないわけがない。

そういうわけで、一人でこっそりと、このイナゴの缶詰を食べることに決めた。

缶詰にはイナゴのイラストが入れてある。
花九陽印 イナゴ甘露煮 缶詰

原材料はイナゴ、砂糖、醤油、水飴だ。シンプルだ。
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缶詰は底の部分にタブがあり、缶切り無しで開けられるようになっている。
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開ける。
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期待が高まる。イナゴまでもうすぐそこだ。
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開けた。イナゴがいた。
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見事にイナゴだ。そうだ、このサイズ、この色だ。私の思い出の中のイナゴと同じだ。
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一匹をつまむ。体長3cmほどのイナゴだった。
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一匹出した。
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もう一匹。後ろ足が付いていた。このイナゴの缶詰は、イナゴの羽と足は取っていないそうだ。缶詰の脇の説明文に明示してある。私の実家の流儀では、イナゴの羽と足は必ず取って捨ててから調理していた。羽付き・足付きのイナゴは私は食べたことがない。
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まあそんな細かいことはどうでもいい。口に入れる。イナゴが口の中に入る。
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私の頭の中で光が炸裂し、イナゴが蘇った。イナゴの味が蘇った。そうだ。この味だ。この味を求めていたのだ。

イナゴはオカエビとも呼ばれることがある。陸のエビという意味である。エビに似ているのだ。でも少し違う。エビそのものではない。エビの殻の旨味を抽出したような味だ。柔らかい味ではない。角ばって、ささくれ立ったような、ゴツゴツしたような、トゲトゲしたような、ザラザラしたような味だ。この味だ。この味なのだ。この味を私は求めていたのだ。何年間も。

なぜ私はこれを今まで買わなかったのだろう。私は馬鹿だ。こんな素晴らしいものを買わなかったなんて。食べなかったなんて。ほんの少しクリックすれば、これはいつでも手に入ったのだ。イナゴはすぐそこにいたのだ。私は馬鹿だ。馬鹿すぎる。

一匹で満足できるわけがない。私はイナゴの山を作った。そして夢中で食べた。
花九陽印 イナゴ甘露煮 缶詰

缶詰の3分の1ほどを食べたところで、少し落ち着いた。これはイナゴの甘露煮である。佃煮である。醤油が多く使われており、たくさん食べると体が塩分を拒絶する。私はもっと食べたかったが、体のどこかが拒否反応を示し始めた。食いたいけれど、ほんの少しの迷いが出てきた。

もっと食べたかったが、今日はここまでにしよう。私はタッパーを出し、残りのイナゴをそこに入れた。
花九陽印 イナゴ甘露煮 缶詰

イナゴの山だ。食べたい。食べたいが、我慢しなければならない。
花九陽印 イナゴ甘露煮 缶詰

タッパーに入ったイナゴたち。
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私はこのタッパーを冷蔵庫に入れた。妻は、このイナゴの缶詰を買ったことを知らない。今日、僅かなイナゴを持って帰ってきた時、妻は「私は絶対食べないからね」と言っていた。たぶん、見たくもないのだろう。ということは、妻が明日、このタッパーの中のイナゴを見たら、たぶん私は怒られるだろう。しかしそれでもいい。私はイナゴの味を思い出せた。もう何が起きても悔いはない。イナゴは旨い。イナゴは素晴らしい。

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