イナゴを調理する前に、このページでは、食べられるイナゴ・バッタについて記しておく。
FAO(国際連合食糧農業機関)が昆虫食を勧めたのは有名な話だ。FAOとは、国連の専門機関の一つである。つまり、国連が昆虫を食べたほうがいいよと世界中に推しているのだ。
昆虫を食うべきだ、とザックリと勧めているからには、基本的には昆虫はほぼすべて食べられるのだと思う。衛生上の問題はあるので加熱はするべきだと思うが、火を入れれば、基本的にはなんでも食える。たぶん。
しかし、とはいえ、昆虫を食べるのは勇気が要ると感じる人も多いだろう。なので、ここでは権威ある書籍で「食べられる」と明示されているイナゴ・バッタ類の一覧を記しておく。
主に参照したのは、むしくいノートと
食べられる虫ハンドブックである。なお、
むしくいノートの方はkindle本もある。もしあなたがいま野外にいて、目の前のイナゴ・バッタ類を食えるのではないかと検索してここに来たのなら、kindle本のむしくいノートを買うことをオススメする。買えば、今すぐスマホにダウンロードして読むことができる。




kindle本のむしくいノート:
むしくいノート びっくり!たのしい!おいしい!昆虫食のせかい
なお、いわゆるバッタの形をしている昆虫で、毒を持っているものは確認されていないようだ。色々と昆虫食の本を読んだが、そのような記述のあるものはなかった。なので、バッタの形をしている虫なら、火を通せばまず問題なく食える。
それでは、食べられるイナゴ・バッタ類の一覧を挙げる。
トノサマバッタ
味:
★★★★★
捕まえやすさ:
★★
食べごたえ:
★★★★★
トノサマバッタ。私が9月の江戸川河川敷のイナゴ採りで最もたくさん採った種である。
トノサマバッタはバッタの中ではやや大きさがあり、食うには向いている。バッタ類はエビに似た味がすることがよく知られているが、その中でもこのトノサマバッタはエビ風味が強いとされている。積極的に採りたいバッタである。
しかし、トノサマバッタは飛翔能力が高く、捕まえるのに多少の苦労を要する。逃げ足も早い。虫取り網は必須であろう。
コバネイナゴ
味:
★★★★★
捕まえやすさ:
★★★★
食べごたえ:
★★
コバネイナゴ。一般的にイナゴと呼ばれているのは、このコバネイナゴである。目からまっすぐ後ろに通っている茶色の線が特徴である。
私はこのイナゴに対する、上記2書籍の評価が不満である。上記2書籍では、バッタ類で最もおいしいのはトノサマバッタと評されており、このコバネイナゴは次点になっている。
そんなことはない。もちろん、トノサマバッタも旨い。しかし、トノサマバッタの勝ちとするのは多少横暴である。
私がそう感じるのは、子供時代にコバネイナゴを食べていた私の中の思い出補正が強いのかもしれない。だが、それを頭に入れてもなお、このコバネイナゴを私は推したい。これを食べずに生きるのは人生の損失である。なお、花九陽印のイナゴ甘露煮缶詰の材料はこのコバネイナゴのようである。簡単に買えるので、是非とも一度食べてみて頂きたい。
花九曜印 いなご甘露煮 EO缶 #5 150g
ハネナガイナゴ
味:
?
捕まえやすさ:
?
食べごたえ:
?
ハネナガイナゴ。コバネイナゴは漢字で書くなら小翅稲子である。それに対してハネナガイナゴは翅長稲子と書く。つまり、羽が長いイナゴである。
Creative Commons — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported — CC BY-SA 3.0
このハネナガイナゴは、学名をOxya japonica japonicaというそうだ。Oxyaはイナゴ属を表す。そして続くのはjaponica japonicaだ。japonicaと名が付いているからには、たぶん日本古来からの種なのであろう。
ハネナガイナゴは、イナゴとしてクローズアップされることはあまりない。イナゴの主役はコバネイナゴである。たぶん数も少ないのだろう。また、調理の際もコバネイナゴと区別する必要はない。この種の存在を知らなければ、これを見てもコバネイナゴと思ってしまうだろう。そして、そう思い込んでいても何も害はない。こう言うと可哀想な気もするが、知らなくてもいい種である。
ツチイナゴ
味:
★★
捕まえやすさ:
★★★★
食べごたえ:
★★
ツチイナゴ。
Creative Commons — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported — CC BY-SA 3.0
私の思い出の中では、このツチイナゴは「ハズレのイナゴ」である。イナゴ採りに行くと、イナゴは小さいので、直接イナゴを見つけるのは難しい。だからまず草の動きを見る。そして動いた草の根本を見る。するとそこにイナゴがいるのだ。
そのイナゴがこの茶色いツチイナゴの時はハズレであった。30年前の我が家では茶色のイナゴは食べなかったのだ。捕まえることはなかった。
上記2書籍でも、このツチイナゴは良い評価をされていない。食えることは食えるが、大味であるとされている。とはいえ、不味いとも書いていない。せっかく見つけたのなら採ってもいいだろう。2015年9月のイナゴ採りでは、私もこのイナゴを採った。
クルマバッタ
味:
★★★★
捕まえやすさ:
?
食べごたえ:
★★
クルマバッタ。
Creative Commons — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported — CC BY-SA 3.0
私はこのクルマバッタを食べない。クルマバッタは足がシマシマだ。私はこのシマシマを見ると、カミキリムシを連想してしまう。そしてキモいと思ってしまう。
カミキリムシ – Wikipedia
イナゴを食っておいて足のシマシマをキモいと言う私をアホだと思う人もいるかもしれない。しかし、事実、キモいと思ってしまうのだから仕方がない。昆虫食をする人にも色々いるのだ。私はかなりライトな昆虫食人である。
なお、ディープな昆虫食人の間では、このクルマバッタの味はまあまあ良い評価をされている。昆虫食としてのバッタの王様である、トノサマバッタとよく似ていると評されている。とてもおいしいらしい。しかし、私は今のところ食べていない。そのうち食べるようになるのだろうか。
クルマバッタモドキ
味:
★★
捕まえやすさ:
?
食べごたえ:
★★
クルマバッタモドキ。
Creative Commons — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported — CC BY-SA 3.0
クルマバッタに対してクルマバッタモドキである。モドキというだけあってクルマバッタに似ているが、学術上の分類はちょっと遠いようだ。クルマバッタはバッタ科トノサマバッタ亜科であるが、クルマバッタモドキはバッタ科のOedaleus属である。このOedaleusというのは日本語訳が存在しないらしい。マイナーだから日本語になっていないのだと思う。そういう存在である。
いずれにしろ、私はこれを食べない。シマシマがキモいからだ。
オンブバッタ
味:
★★
捕まえやすさ:
★★★★★★★★
食べごたえ:
★★
バッタというと、トノサマバッタよりもこのオンブバッタを思い浮かべる人も多いだろう。草っぽい体をしている。
このオンブバッタは、日本ではあまり食べられていないバッタだと思う。なにしろ、日本古来の食用バッタといったらコバネイナゴだからだ。このオンブバッタはコバネイナゴとあまりにも姿が違う。コバネイナゴに慣れた私としては、オンブバッタは食べるのが怖い。
しかし、オンブバッタは非常に草っぽい姿をしている。昆虫食が初めての人の場合、コバネイナゴよりも、この草っぽいオンブバッタの方が抵抗なく食べることができるかもしれない。
なお、味の方はあまり大きな評価がない。無難な味なのだろう。また、一般的に小さいので食べごたえもないだろう。
オンブバッタの良い点は、ものすごく採りやすいことだ。近づいても全然逃げない。河原に行けばどこでも取り放題だ。もしこのオンブバッタを旨いと感じるなら、この世はパラダイスに思えるだろう。その意味では一度食べてみる価値がある。
ショウリョウバッタ
味:
★
捕まえやすさ:
?
食べごたえ:
★★★★
ショウリョウバッタ。
Creative Commons — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported — CC BY-SA 3.0
ショウリョウバッタはトンガリヘッド。オンブバッタをそのまんま大きくして、そこからさらに足を長くしたような形をしている。
ショウリョウバッタは若干の苦味があるそうだ。私は食べたことがないのでわからない。しかし、わざわざ苦いものを食べる必要もないだろう。採らなくていいと思う。
ただ、体長10cm~15cmと大型のものが多いので、食べごたえはありそうだ。ガッツリ食いたいなら狙ってもいいだろう。私は食わないが。
以上である。繰り返しになるが、書籍としてはむしくいノートと
食べられる虫ハンドブックをオススメする。どちらも結構売れた本なので、図書館などにもあるかもしれない。買おうかどうか迷っている人は、まずは図書館を調べてみてもいいだろう。
なお、「むしくいノート」の方は虫の種類ごとに具体的な調理方法が載っており、ガチで昆虫食をしてみたい人向けである。それに対して、「食べられる虫ハンドブック」は、どちらかというと図鑑っぽい。調理方法の記述が少ないので、本気で食べたい人には物足りないだろう。「むしくいノート」は文章もライトな感じでスーっと読める。昆虫食の第一歩としてはむしくいノートが良いと思う。




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